最後に、時としてBPDを持つ人は、自分を保護してくれる支援的な人と同席しているときには、実際よりも有能に見えることがあります。セラピストはしょっちゅうこれを目にしてます。BPDを持つ人はセラピー面接ではうまくやっているように見えても、同じ日のうちに電話してきて、自分の人生はあまりにも絶望的なので自殺すると言うのです。セラピストでさえもこの変化には混乱します。なぜクライアントはセラピストにそのことを伝えなかったのでしょう。答えは、クライアントがセラピストと一緒に部屋にいたときには、その問題がその場になかったということです。慈しみのある環境という外的な影響がなくなってしまうと、苦痛な感情が戻ってくるのです。クライアントはセラピストと一緒の時には本当に自殺傾向なのなかったのですが、面接が終わるや、そのような思考や感情が戻ってきてしまったのです。
BPDを持つ人は、一人でいるのは好まず、支援的で思いやりのある関係の中にいると、よりうまく機能します。彼らの人生には思いやりのある関係が欠けているので、もしあなたの愛する人があなたと思いやりのある関係をもっているのであれば。あなたと一緒にいるか、あなたと話しているという理由だけで、時には感情がより上手に調整されるでしょう。
しかしその後、また一人になると孤独が襲い掛かり、手に負えない絶望的な感情がすべて戻ってきて、調整不全がぶり返すのです。あなた方のどちらも何も間違ったことをしていません。あなたの保護的な存在感が、愛する人の気分を改善するというだけのことなのです。
次回は「見せかけのコンピテンスに直面したとき、あなたにできること」を扱います。
「境界性パーソナリティー障害をもつ人と良い関係を築くコツ」シャーリ・Y・マニング著
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