まずい価値判断プラス下手な問題解決 2
- FSG brog 管理者
- 6月25日
- 読了時間: 3分

子どものための食料品を買いに出かけ、牛乳売り場で働いている男性と帰宅したというクライアントがいました。当時そのクライアントには、生活の中に多くのストレス要因がありました。生活保護で生活しており、多くの痛みを引き起こし彼女を衰弱させる関節病を抱えていて、経済的にも感情的にも身体的にも、子どもの世話をするだけの備えがありませんでした。彼女の娘たちは父親と生活しており、彼女は一年に二週間の面会権しか持っていませんでした。子供と過ごせる期間に、そのクライアントは娘たちの世話のストレスで圧倒されてしまいました。店に行ったとき、牛乳売り場の男性とは初対面でしたが、話を始めて、彼が妻と別れたばかりで住む場所がないことがわかったのでした。三十分のうちに彼女は彼を家に連れ帰り、訪問中の二人の娘と一緒に住まわせたのです。二週間後、そのクライアントは面会の権利を全面的に失ってしまいました。その男性は性犯罪者であって、彼女の娘に虐待を試みたことが判明したのです。警察が彼女の家にその男性を逮捕しに来て、子どもを預けるために福祉関係者も連れてきたとき、そのクライアントは極度に動揺して車で逃走してしまいました。あまりに感情が高ぶっていたので、うまく運転できず、別の車にぶつかってしまいました。運転していた人は集中治療室に送られ、彼女は自分の身に降りかかった問題をつくづくと考え始めました。彼女は致死的な自殺を試みて入院することになりました。彼女の行動の多くがその後の問題につながったことを理解させるのに長い時間がかかりました。
もちろん、そのクライアントには子どもを失うつもりも、性犯罪者を家に連れ込むつもりも、自殺企図をするほどに調整不全に陥るつもりもありませんでした。彼女の行動は制御不能になったのです。男性と出会い、すぐに家に連れて行った際は、衝動的に行動していたのです。彼女は、彼が自分より娘の方に関心を持っているかもしれないと直観的に思いましたが、その考えを無視して、孤独にならず、新しい男性との時間を楽しむことに焦点を当てたのです。
一連の衝動的決断と、事実を無視した結果として、彼女と娘たちにとって悲劇的な結末を伴う出来事が起こりました。彼女はこの一連の出来事に先立って、ストレス要因に圧倒されていました。身体的要求あるいは感情的要求、または人生の問題に圧倒されている感覚は通常、危機的行動の前兆となります。圧倒されているという感覚と感情的に調整不全であるという感覚が、彼女の意思決定技能を損なっていました。しばしば人は危機にある時、直観的に知っていることを無視して、感情的苦痛やストレスをいくらかでも取り除いてくれる出来事の方に精を出してしまうのです。彼女がその男性と娘たちのことで頭の中に警報サインが出ているのにそれを無視したのは、この事例に他なりません。BPDをもつ人は問題解決の方法を思いつかなかったり、あるいは問題への解決策を無視したりします。危機が続くことを望んでいるのだ、あるいは危機が「大好き」なのだと価値判断されてしまうのは、この無視が原因です。実際は、危機によって圧倒されてしまうという経験をしているのです。BPDをもつ人は、自分で問題を解決できる、あるいは行動計画を実行できるとは信じていないのです。
次回は「止むことのない危機のときにあなたがどう力になれるか」をご紹介します。
「境界性パーソナリティー障害を持つ人と良い関係を築くコツ」
シャーリ・Y・マニング署
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