問題解決技能は、他の多くのBPDの関連行動が生じるのと同じ根本的な理由で、つまり感情の調整不全と非承認という理由で、BPDを持つ人の手には入りません。単純に言うと、高ぶった感情はしばしば認知能力を阻害します。私たちが「すっきりした頭」で問題を熟慮したいと言うとき、それは通常、「強烈な感情がもたらす行為衝動で責め立てられていない精神状態」で、という意味です。(あなたが激怒しているときや恐怖に襲われているときに、今子犬を叩いた人やあなたの財布をひったくった人に反応するための選択肢を、迅速に自信をもってリストアップして分析することがでいますか?)
感情調整不全は認知調整不全を引き起こす可能性があります。そのため、全人生を通じて感情に対してひどく脆弱であった人たちは、問題解決でうまくいったという経験をしたことがないのです。その人たちの心は他のことで占められていて、何が機能して何が機能しないのか、学ぶ機会にどうにも恵まれなかったのです。しばしば、彼らは感情によって機能しないものばかり導かれてきたのでしょう。
それから、非承認的な環境が問題解決の学習を妨げることもあります。BPDを持つ人は、調整不全の感情に対する他人のリアクションや、さらには家族の他の誰かもまた感情調整不全に苦しんでいることが理由で、効果的に問題を解決する経験をしていないことがあるのです。多くのケースで、両方の要因が関与しているでしょう。
次回は問題解決技能についてさらに詳しく扱います。
「境界性パーソナリティー障害をもつ人と良い関係を築くコツ」シャーリ・Y・マニング著
Comments