あなたが愛しているBPDを持つ人は、おそらく問題解決という面で別の困難にも対処しているでしょう。対人関係技能の欠如です。理論的に言って、他人とうまくやっていく方法を学ぶ上での困難は、多くの角度から問題解決を阻害するのです。
第一に、あなたの愛する人が子ども時代に感情調整不全を理由として他人とのコミュニケーションで問題を抱えていたとすると、建設的な問題解決への助けを大人に頼むという点であまり成功してこなかったかもしれません。このつながりで、対人関係での問題があると、BPDの成人は問題解決技能を発達させられないままになっていしまうことがあるのです。
第二に、もしあなたの愛する人が、たぶん解決すべき問題に関する決断がまずいために多くの人とぶつかったり壊れたりしがちな関係をもっているのであれば、問題が発生したときには、自分の「間違い」で誰かの怒りを買うことを恐れて全面回避を図るかもしれません。BPDを持つ人は問題が喚起する感情から逃れたいという理由だけで問題を回避するのではありません。「またしくじってしまう」という対人的な結末に怯えているから回避するのです。
最後に、あなたの愛する人が、あなたに、そしてその人が依存し始めた他の誰かに助けを求める方法にも問題があります。子どものときに、「大騒ぎする」アプローチが問題解決で助けを得る唯一の方法だと学んだ成人は、行き詰まったときには今日でも大きな耳障りな声を出し、自己本位な要求をしがちです。相手をいじめようとしているのではなく、単に他の方法を知らないからです。残念ながら、力づくの要求に直面して、格別に度量の大きい気持ちになれる人はいません。訓練されたセラピストにとってもオープンで共感的であり続けることがどれほど難しいか、具体的に示している話を読まれたことがあるでしょう。予期せぬときに電話をかけてきて、いきなり私に「その人を修正する」よう要求し始め、怒って攻撃的になるようなクライアントがいると、時として冷静で支援的なままであり続けるためには、私のものてるすべてを出し切ることが必要になります。(クライアントの問題を客観的に見られるところまで戻るためには、私が黙って、クライアントにも黙るように促すしかなかったという状況)
愛する人からこのような要求に直面して自分自身が悩まされていると思ったなら、一般にこの行動の背後にあるものを知ると役に立つかもしれません。助けを要求する人は、恐らくそれを聞いてもらえる唯一の方法であると信じているだけでなく、高度の不安から動いているのかもしれません。自分では問題を解決できないと確信していて、かつ問題は解決されなければならないと信じている人は、自然と多くの不安や恐怖を感じます。
次回はその恐怖について詳しく扱います。
「境界性パーソナリティー障害をもつ人と良い関係を築くコツ」シャーリ・Y・マニング著
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