DBTセラピストは、DBTを支えるために追加治療を勧めることがあります。どのような治療が推奨されようとも、それは当の子どもが自分の感情を管理することで熟達するよう助けることを目的としたものである必要があります。以下に皆さんのセラピストが提案する可能性が最も高い補足的治療について簡単に紹介します。
家族療法
家族療法は、最もよく処方される追加治療の一つです。これは、家族内の要因が個人の問題を発症させる一因となるという前提に基づいています。これらの要因を同定し改善できれば、その家族システムはそれらを解決する助けをすることができるというわけです。しかしながら、家族療法は、それが有益であればあるほど、強力で挑戦的な感情を呼び起こします。今までに家族療法に参加したことがある方なら、私の言わんとしていることがわかるでしょう。参加したことがない場合は、ちょうどセッションで皆さんの子どもと他の家族の人々と一緒に座り、自傷やその他の敏感な家族の問題について話し合おうとしているところを想像してみてください。家族療法は、自傷を行う子どもに対して彼らが最も甚だしく欠けている能力の一つを用いるよう求めるのです。
驚くべきことではありませんが、自傷する子どもたちの多くは家族治療を一般的に次の三つの方法で対処します:①まるで死んでしまったかのようにほとんど沈黙して過ごす、②最もありきたりな話題についての話し合いにしか進んで関わろうとしない、③逆上し、飛ぶような勢いで出口のドアへと向かう。
家族療法を勧められた場合、それをより有効に用いるのに役立つ可能性のある提案をいくつか紹介します。第一に、個人療法と家族療法のそれぞれが治療のタスクとして想定していることは何かを明確に把握してください。そのセッションは家族メンバーが自分自身の感情を表現する、あるいはコミュニケーションの道を拓く機会である、というようなことを聞かされた場合は要注意です――これは原則的には素晴らしい考えですが、制限のない話し合いは、現状では皆さんの子ども(あるいは皆さん)の手に余ることがあります。自宅で制限のない話し合いをするときにいつもめちゃくちゃになってしまうとしたら、セラピストの診察室でうまくいくとはもっと考えにくいでしょう。その一方で、セラピストが治療のタスクを効果的なコミュニケーションと感情調整に必要なスキルを学習し、練習するための非常に構造化された機会として概要を説明した場合には、即座に同意してください。
第二に、タイミングがすべてです。皆さんの子どもがいくらかの感情調整スキルを発達させる前に家族療法を受けることに果たして意味があるかどうか、考えてみてください。家族療法に参加することは重要ですが、反面皆さんの子どもを混乱させ、帰宅後に自傷することにもなり得ます。このような精神的に負担のかかる話し合いに、メリットはほとんどありません。
家族療法の代わりに、家族ガイダンスなど、家族への教育に参加する方がより役立つことがあります。一般に、子どもの治療の訓練を受けてきた精神保健の専門家は、親の役に立つために必要なスキルも学んでいます。このようなセッションは、皆さんがよりうまく皆さんの子どもの苦痛に反応し、問題に対する皆さん自身の心配に対処するとともに、子どものセラピストとうまく取り組んでいくことができるような助けとなるでしょう。
次回は「グループ療法」について紹介します。
「自傷行為 救出ガイドブック ―弁証法的行動療法に基づく援助―」 マイケル・ホランダー著
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