一週間前、17歳のデイビッドと私の会話は、彼に自分の自傷が担っている役割を理解すること、自分の長期的、短期的目標を見積もること、そして生物社会的理論を検討することに焦点が当てられていました。セッションの終わりに、私は彼に、私たちが話したことを理解できたかどうか、また彼はこの問題に取り組むというコミットメントをするつもりがあるかどうか、少し時間をとって考えてみるように勧めました。今週行われた二回目のセッションで、私は、彼に求められることと私に求められることの概要を説明し始めました。このしっかりとした基礎を持つことで、それ以降の治療の成功の見込みはぐんと高まると思われました。私がすべきことは、このプロセスの重大さのバランスをとることでした。
「よく戻ってきてくれたね!先週、私たちが話したことについて考えてもらえましたか?」
私はデイビッドに尋ねました。
「ええ、少しは。でも僕にはわかりません。やることがたくさんあるみたいですけど、僕はこれまで何度も治療を受けてきて、一度も違反したことはありません。でも僕は、それがほとんど無駄だったと思うんです。僕の問題についてただ話をするだけでは、僕の助けにはならないように思います」
デイビッドは答えました。
「そうだろうね、そう聞いても私は驚きません。自分の問題についてただ話をするだけでは、君のような人にはたいていの場合役に立たないでしょう。実際には、それによってもっと悪くなる、と言う人もいます。先週お話しした通り、私たちは君の物事への対処法を、これまでとは違うようにすることが必要となります。だから君の問題について話し合いましょう、そうすれば私は、君が君の生活をもっと効果的に管理するための新しいスキルを学べるよう、援助することができます。君と私は、君が買えたと思う行動――それを『ターゲット行動』と呼びますが――について一緒に対処していきます。そのあとはそれに基づいて、他の行動に取り組んでいくのです。君はどう思いますか?」
彼は答えました。
「えーと、僕は本当に落ち着かなくてはなりません。それも、すぐにです。僕は来年、学校に行かなくてはならないんです。両親は僕が自傷をやめない限り、僕を学校に行かせないつもりです。それに、僕は自傷が僕の役に立っていると思っていません。ちょっとの間は救いになりますけど。だからたぶん僕は、負けるようなことはないと思います」
「わかりました。さて、これまでの話から判断して、君と私は一緒に取り組んでいくのに相性が良いと思いますか?」
私は尋ねました。
「なぜこんなことを聞くかというと、私たちは本当に協力してやっていかなくてはならないからです。だから、もし私が君を困らせるようなことをしたら、君はそれを私に知らせることができなくてはいけないし、君が治療の妨害になることをしたら、私はそれについて君に正直に話さなくてはなりません」
「先生となら一緒にやっていけると思います。これまでのところ、僕は先生に対してかなりいい感じに思ってきましたから」
デイビッドは言いました。
「よかった!私が君に、治療について実にたくさんの情報を与えすぎているのはわかっています、でも君にとって、自分が何を始めていくのかを本当に理解することは大切です。これは大変な取り組みになるでしょう。それに君には、来年、学校に行くのに間に合うように治療を終えてしまわなくてはいけないという、時間的な制限があることも私は理解しています」
私は答えました。
「そうなんです!僕は高校を終えて大学へ行くのに、足踏みはしていられません。僕はこれからも生きていかなくてはならないんです!」
デイビッドは興奮して答えました。
次回は「デイビッド:相性の一致」の続きをご紹介します。
「自傷行為救出ガイドブック ―弁証法的行動療法に基づく援助―」 マイケル・ホランダー著
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