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自己非承認への反応方法



①自己非承認ではなく、感情と経験を承認する

  愛する人が自分自身をけなすとき、私たちは一般的には何をするでしょうか?私たちはそんなことはない――その人は愚かではない、悪くはない、不器用ではない、ずうずうしくはない、または何であれ、その人がその人自身に貼り付けたネガティブなラベルは正しくない――と言います。


  私たちが大切に思っている人が自分は無価値だ、愚かだ、生きるに値しないなどと話しているのを耳にすることは非常につらいものです。そこで、わたしたちは即座のリアクションとして、そのコメントを否定することによって反論します。あなたの配偶者が「あんな状況、対処できて当然だったのに――私は全くの馬鹿だわ」と言うと、あなたは本能的に「君はバカではないよ」と言いたくなるでしょう。私たちは、これが愛する人が私たちに望んでいる種類の支援や慰めだと考えていますし、BPDが存在しない状況ではそれで間違ってはいないでしょう。けれども、愛する人がBPDを持っているときには、大いに忍耐を発揮し、達人的な承認の準備をする必要があります。カギとなるのは、自己非承認を承認せずに、あなたの愛する人の経験と感情を承認することです。


  これは承認できないことを決して承認しないという「ルール」から直接的に導かれる当然の結果です。少々まやかしめいて聞こえますが、愛する人の自分はバカだという主張に対して、あなたが単純に「あなたはバカではありません」というと、その人の感情的経験を承認していないことになるのです。たとえ、その人が自分自身について導いた誤った結論だけを承認しないのだとあなたが意味しているとしてもです。あなたの言うことは、正確でないと論じて愛する人の感情を変化させようとしているのだとみなされるでしょう。あなたの愛する人には、自分は価値があり、愛されているのだとは聞こえないでしょう。その人は自分はバカだと感じていると言っているのであり、その人にとって、あなたが言っているのは、そのように感じるべきではないということなのです。その人の感情は信頼に値しない、承認できない、あるいは純粋に間違っていると言っているのです。あなたはその人が全生涯にわたって聞いてきたことを裏付けしているに過ぎないのです!


  あなたが学習しなければならないのは、愛する人の経験に対するリアクションを、その人が自分の感情を感じて引き出した結論へのリアクションから分離することです。ですから、その人が困難な時間を経験したのは知っている、その状況はつらいものだと知っている、その人がバカだと感じているのも知っている、とその人に伝えましょう。それから状況次第で、問題解決を手伝おうと申し出てもよいですし、その時点でその人がバカではないと安心させてもよいでしょう。もしその人の感情が高まっていることに気づいたならば、一歩引いて、承認へと戻りましょう。



次回は「②ゆっくりした変化を促す」を紹介します。


「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」 シャーリ・Y・マニング著


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