薬物療法(向精神薬の使用)は、自傷を行う子どもたちにとってしばしば外来治療の一要素となります。精神科医への紹介は、たいてい個人セラピストからなされます。薬物療法が皆さんの子どもにとって有効かどうか聞きたい人はセラピストに尋ね、精神科医を受診することをお勧めします。どのような薬を勧められるにしろ、そのメリットとデメリット(副作用)についてよく理解してください。最善の方法は、資格を持つ児童精神科医か、子どもの患者を多く診ている精神科医に皆さんの子どもを診せることです。恥ずかしがってはいけません。副作用についてよくわからなければ、何を期待し、どのような心構えをすればいいか、確信が持てるまで質問を続けてください。
現在、自傷を直接の対象にした薬はありません。しかし感情的な苦悩を軽減し、気分を高揚させ、衝動性を軽減し、さらにこれらの青年期の子どもたちに特徴的な感情の揺れを安定させるために間接的に働く薬は幾つかあります。薬はそれだけで単独で十分であることは滅多にありませんが、子どもがDBTセラピストと治療に取り組むうえで素晴らしいサポートとなるでしょう。
残念ながら、子どもに処方される向精神薬の多くは子どもに対する厳密な臨床試験を経てきていません。これらの薬が大人に効果があることはわかっていますが、子どもに対して長期的にどのような影響があるかを明言することは本当にできないのです。しかし抑うつや、その他の精神疾患は子どもを無力にさせかねません。臨床場面で、私たちは適応があるときに薬を使用しないと状況をますます悪化させることがあることを経験します。
次回以降、比較的一般的に用いられている薬について簡単に説明します。皆さんが処方医にどのような質問をしたらいいかを検討する際の、あくまで参考のためのガイドラインとしてください。
次回は「抗うつ薬」を紹介します。
「自傷行為 救出ガイドブック ―弁証法的行動療法に基づく援助―」 マイケル・ホランダー著
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