DBTは比較的新しい治療法であるため、トレーニングを受けたセラピストを見つけることは必ずしも容易ではありません。
皆さんが関わる医療機関や精神保健センターのソーシャルワーカーに、DBTセラピストを知っているかどうか尋ねることができます。時折、心理学者とソーシャルワーカーから成る地域の協会が良い情報源となってくれることがあります。また、皆さんの地元の精神科クリニックや、児童精神科外来を有する病院に尋ねることもできます。
DBTのセラピストとなってくれそうな人を見つけたら、皆さんが尋ねるべき、ある重要な鍵となる質問があります。
1、そのセラピストは集中トレーニングコースを受けたことがありますか?
2、全体的なコンサルテーション・チームが存在しますか?
3、治療時間外にスキル訓練のためのきちんとした機能が存在しますか?
4、そのセラピストは青年期の子どもに広範囲にわたって取り組んできましたか?
セラピストが集中トレーニングに出席したことがあると非常に有益ですが、そうでないからといって交渉決裂とすべきではありません。しかしこのような場合には、上に挙げた質問の2番目と3番目が皆さんの決断を下す際にいっそう重要となります。
ふさわしいセラピストを選択するためのガイドライン
まず間違いなく、子どもとセラピストとで行われる個人治療が中心的治療計画となるでしょう。
したがって、子どもと皆さんの両方がそのセラピストと良い関係を築き、満足に感じられるようにしてください。皆さんはその人物を信頼し、協力できると感じる必要があります。また、治療前にも治療中にも皆さんの質問に答えてくれる人物である必要があります。しかしながら、そのセラピストと良い関係を持つことだけでは十分ではありません。
■理論的志向
セラピストは、治療を導く助けとするための理論を持つ必要があります。自分は特定の理論的志向を持っていない、あるいは自分は「うまくいくことをするだけだ」と言うセラピストには、不安を覚えます。心理学的理論はセラピストが有効で関連のある介入をするために、自分の患者の行動を理解しようとする上で役立ちます。皆さんがDBTセラピストではない人と話をする際には、そのセラピストがどの理論的志向に基づいて自傷を行う子どもたちを理解するのか、尋ねてください。治療を行う上でそのセラピストが用いる心理学的理論が具体的にどのように実践されるか、皆さん自身ができるだけ完全に理解するようにしてください。
■学位と経験
私の経験では、学位は、次の事柄と比べたらさほど重要ではありません。
1、セラピストは自傷を行う人々に取り組んだ経験を少なくとも数年間は持っているべきです。
そしてその特定の治療が、子どもの自傷の問題に対してどのように取り組むことになるのかを説明できなくてはなりません。
2、セラピストは青年期の子どもの治療に熟練しているべきです。
3、セラピストは、治療における親の役割と、セラピストと患者間の秘密保持の範囲と限界について明確な考えを持っているべきです。
次回は「DBTを補完する治療」を紹介します。
「自傷行為救出ガイドブック ー弁証法的行動療法に基づく援助ー」マイケル・ホランダー著
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