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あなたの愛する人は何かを行う能力を般化することができますか?


 人間を含めすべての動物は一つの文脈で行動を学習します。これは状況特異的学習と呼ばれています。イルカのトレーナーであるカレン・プライオアは非常に役に立つ行動形成についての彼女の著書の中で、イルカは一つの水槽から別の水槽に芸を持ち越せないと説明しています。そういうわけで、一つの「シーワールド」で見事に訓練されたイルカでも、別の施設に移されると再訓練されなければなりません。行動は単に一つの文脈(環境)から別の文脈へと移動しないのです。幼い子供は学校で静かにすることを学びますが、宗教的儀式のときにも同じことをするのだと教わらなければなりません。子どもにとって静かにすることを要求される文脈は教室であり、教室は礼拝所と同じではありません。最終的に子どもは、二つの異なる場が共有する重要な特性を理由に、それらを同じ作用をもつ文脈として固定することができるでしょう。例えば、もう少し年長の子どもは、学芸員が解説をしている博物館では、他の人々が静かにしていて、熱心に耳を傾けるグループに対してい誰かが話しをしているので、静寂が要求されることを理解できるでしょう。あるいは、コンサート会場では人々が静かにしていて、大きな声で話せば音楽を聴く邪魔になるので、そこでも静寂が要求されると理解できるでしょう。さらに年長の子どもは、静かにすることは葬儀のような静寂な場では敬意を示す一方法であることも理解するでしょう。

 すべての動物が行動を一つの環境的文脈から別の文脈への般化する際に困難を感じますが、それに加えて、BPDを持つ人は感情と認知の調整不全を抱えているので、般化の問題はより大きくなります。般化するためには、すべての精神的な関連付けをしなければなりません。しかしながら、行動の感情的興奮はBPDを持つ人が般化するのをほとんど不可能にします。研究者たちは、人々が新しい行動を学ぶ方法について多数の研究を行ってきました。一つの場所で行動を学習した人たちは、必ずしも他のどこかでその行動を繰り返せるわけではない、ということが示されています。自殺傾向のある人や現在うつ状態の人は、行動を文脈から文脈へと移す能力が低下しています。高度の感情覚醒により、課題実行能力が低下するのです。あなたの愛する人が職場でよりも家庭で調整がとれていれば、家庭での方が有能に見えるでしょう。その人の気分状態が異なる場所で行動する能力に影響するのです。その人が家庭でより不安になり落ち込むなら家庭での方が行動のコントロールと表現が難しくなるでしょう。


次回も引き続きこの点を扱います。


「境界性パーソナリティー障害をもつ人と良い関係を築くコツ」シャーリ・Y・マニング著


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