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うまくいかないスキルとその理由


  


ここでは、一部のセラピストがよく勧めるものの、実際にはほとんどうまくいかないスキルを紹介します。これらのテクニックはある特定の状況では有効に作用するという可能性もありますが、もし、良い結果を得ていない場合には、必ず治療チームに相談し、検討してください。



*子どもが自傷に用いる道具を除去する

子どもが自傷に用いる可能性がある鋭利なものをすべて隠してしまうか、家の中から撤去してしまうのは、自傷をやめさせるのによい方法であると思うかもしれません。しかし少なくとも三つの理由からこれをよくない考えであると思います。第一に、子どもが自傷に用いることができるものは数限りなくあるため、自宅を「安全」に保っておくことは実質的に不可能です。第二に、そんなことをしたら、皆さんは常に自宅をパトロールする役割へ、つまり子どもと敵対する役割になってしまいます。皆さんが「刃物警察」となってもメリットはありません。

最後に、あるまがままの世界 ― ほんのいくつか例を挙げるだけでも、世の中にはカミソリ、ハサミ、ナイフ、缶の蓋、そして安全ピンといった危険物が存在します ― にどのように適応したらよいかを子ども自身が学ぶことのほうが、人工的に「安全」な環境を造る(それが可能だったとして)ことよりもはるかに重要です。子どもが自傷に使えるようなものを除去することは、しばしば親が、わが子の自傷に振り回されているという誤った感覚に陥ってしまうことがあります。良かれと思ってありとあらゆる鋭利なものをしまい込んだのに、子どもがそれらを見つけ出してしまった、あるいは新しいものを自宅に持ち込んでしまったという状況を耳にします。

勘違いしないでください ― 鋭利なものを身の回りに放っておくようお勧めしているわけではありません。自傷する子どもに取り組んでいるセラピストも、担当する子どもが自分の部屋やカバンの中に鋭利なものを隠し持っていないかどうか、確認する必要があります。自傷の治療で最も優先すべきことは、子どもたちが、自傷に用いてきたものに執着しないですむよう彼らを援助し、自傷を誘惑するものから離れるよう、子どもたちと協力することです。



*身体検査

親やセラピスト、教育機関などは、新たな自傷をしているかどうか調べるために、自傷経験がある子どもを専門家に定期的に診せるよう求めることがときおりあります。その目的は、子どもがまだ自傷をしているかどうかを知るというだけでなく、間もなく身体検査がある、と知ることで自傷が抑制されるよう、検査の機会を自傷防止に利用することです。この方法はまったく支持できません。一つには、子どもに服を脱いで、自傷しているかどうかという身体検査を受けるよう求めることは、彼らを辱めることになります。行動療法というよりもむしろ懲罰といったほうがずっと近いです。

こうした恥辱的な身体検査を恐れるあまり自傷をやめた子どももいますが、いったんその身体検査を受ける義務がなくなってしまえば、これらの子どもたちがまたすぐに自傷へ舞い戻ってしまう可能性は非常に高いのです。しかも、これは確実な手法ではありません。身体検査はたいてい下着着用で行われるので、いくつかの傷跡を隠すことは可能です。私は、潜在的に恥辱間を与える可能性のある方法からはいかなる治療的メリットも想像できませんし、自傷についてもっと秘密にするよう子どもに強いることが正しい方向へ作用するとも思いません。



次回は「うまくいくスキルと、その理由」を紹介します。




「自傷行為 救出ガイドブック ―弁証法的行動療法に基づく援助―」マイケル・ホランダー著

 
 
 

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