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皆が一緒に参加する

ティファニーの話は、治療のターゲットとなる行動は何かを見定め、コミットメントを始めるプロセスの最初のステップを物語っています。私は初回あるいは二回目までは、親にもセッションに参加してほしいと思っています。それによって私は親と会うことができ、親には、自分たちの子どもの治療にあたる人物を理解してもらえるからです。自傷についてどのような考えを持ち、問題解決へ向けてどのように取り組んでいこうとしているのかについて、関係者全員に理解してほしいと思います。次のステップでは、他にどのような行動をターゲットにする必要があるかを判断し、子どもに次のことをしてもらいます。


・個人治療とグループ治療に来ることを約束する

・ダイアリーカードに記入する

・セッションとセッションの間に電話相談をする約束をする

・DBTスキルと、より効果的に生活するのに必要なその他の新しい行動をなんでも学び、練習する


  これらをすべて肝に銘じてからでないと治療は始められません。

  皆さんの中には、子どもはどうやってもこれらの条件を受け入れないだろう、と考える方もいるでしょう。あるいは少なくとも積極的ではなく、しぶしぶ受け入れるだけだろう、と思うかもしれません。しかし、うまく話しを進めていけば、青年期の子どもは自分の行動を変えることに価値を認め、コミットメントするようになるというのがこれまでの私たちの経験です。治療に対するコミットメントを取り付けることには、特に青年期の子どもが治療の中で何をすべきかということはもちろん、どんな行動をターゲットとして取り組むことになるかについてはっきりとした同意を得ることにもなります。これは、感情的に脆弱な子どもたちに対して特に重要なことです。このような子どもたちは治療から脱落するか、あるいは実際には何の変化も起こっていないのに変化したふりをする危険性が高いからです。

  それは、DBTという治療そのものの性質と関係があります。治療の中では感情的に難しい問題も含めて、自分の問題について語るよう求められます。感情的に脆弱な子どもたちは、こうした話し合いによって感情統制が困難になり、治療を避ける(脱落する)か、あるいは感情的に圧倒されるのを防ぐために自分の生活上で最も当たり障りのない、多くの場合は些細な問題しか話そうとしない、という傾向があります。DBTで必要となる取り組みについて本当のコミットメントをさせることは、子どもに、治療に対する覚悟を決めさせるのに役立ちます。セラピストはスキル訓練と指導を通し、子どもが感情統制困難になる行動を援助するとコミットメントすることで、子どもたちに、この道のりで自分が独りぼっちではないという貴重な気持ちを与えます。多くの治療形態では、最初にこの取り組みが行われないままに、つまりセラピストと子どもが地図を共有しないままに、治療に取り組むことになってしまうのです。子どもたちと確実に治療を共有するための効果的な方法の一つに、「ダイアリーカード」という毎日の記録を活用することがあります。


次回は「ダイアリーカード」を紹介します。


「自傷行為救出ガイドブック ―弁証法的行動療法に基づく援助―」 マイケル・ホランダー著


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